【2024年版】Webチラシ（電子チラシ）とは？紙との違いから無料作成・配信サイト5選まで徹底解説

1. Webチラシ（電子チラシ）とは？今さら聞けない基本を解説

1-1. Webチラシとは？紙のチラシ（折込チラシ）との根本的な違い

Webチラシとは、その名の通り、Webサイトやスマートフォンアプリ上で閲覧できるデジタル形式のチラシのことです。「電子チラシ」「デジタルチラシ」とも呼ばれますが、これらはほぼ同じ意味で使われています。 新聞に折り込まれたり、ポストに投函されたりする紙の折込チラシが、特定のエリアに住む人々に物理的に情報を届けるのに対し、Webチラシはインターネットを通じて、時間や場所を問わず情報を届けられる点が根本的な違いです。 目的は、紙のチラシと同様にセールやキャンペーン情報を告知し、店舗への来店を促すことですが、WebチラシにはECサイトへ直接リンクして購入を促したり、閲覧データを分析して次の販促に活かしたりといった、デジタルならではの役割も期待されています。

1-2. なぜ今Webチラシが重要？新聞購読率の低下とスマホアプリの普及

Webチラシが急速に重要性を増している背景には、2つの大きな社会の変化があります。 一つは、新聞購読率の低下です。かつて折込チラシは、地域住民にリーチするための最も強力な手段の一つでしたが、新聞を購読しない世帯が増えたことで、その影響力は相対的に低下しています。 もう一つは、スマートフォンとアプリの普及です。多くの人が、情報をスマホで収集するのが当たり前になり、「Shufoo!（シュフー）」や「トクバイ」といったチラシアプリが広く利用されるようになりました。これにより、企業は新聞購読層以外にも、デジタル上で直接アプローチできるようになったのです。

1-3.【データで見る】Webチラシの利用率と紙チラシの根強いニーズ

では、実際のところ、消費者はどちらのチラシをよく見ているのでしょうか。 株式会社マクロミルと翔泳社が2018年に行った調査では、最も閲覧されているのは「ポスティングチラシ」（47.2％）、「新聞の折込チラシ」（44.7％）、「電子チラシ」（35.7％）の順でした。 しかし、株式会社ナビットが2022年に行った調査では、電子チラシを「利用したことがある」と回答した人は73.5%にのぼり、新聞折込チラシから情報を得ている人（合計52%）を上回る結果となっています。 これらのデータから言えるのは、「紙のチラシはもう古い」というわけではなく、紙には紙の根強いニーズがありつつも、Webチラシがそれを補完し、時には上回るほどの重要な情報源になっている、ということです。特にスーパーやドラッグストア、ホームセンターといった日常的な買い物においては、両方のチラシが活発に利用されています。

2. Webチラシを導入する5つのメリット｜コスト削減から販促効果の可視化まで

Webチラシを導入することは、企業にとって多くのメリットをもたらします。ここでは、代表的な5つの利点を解説します。

2-1. メリット①：印刷・配布コストを削減し、全国のユーザーにアプローチ可能

紙の折込チラシやポスティングには、デザイン費のほかに、印刷費と配布費という大きなコストがかかります。Webチラシは、これらの物理的な費用が一切かからないため、大幅なコスト削減に繋がります。 また、紙のチラシが特定の商圏エリアにしか届けられないのに対し、Webチラシはエリアを限定せず、日本全国、さらには世界中のユーザーに情報を届けることが可能です。

2-2. メリット②：セール情報の即時更新やプッシュ通知でタイムリーな情報配信

紙のチラシは一度印刷してしまうと修正ができませんが、Webチラシはいつでも簡単に情報を更新できます。価格の変更や在庫状況の反映、急なタイムセールの告知などもリアルタイムで行えます。 さらに、チラシアプリのプッシュ通知機能を使えば、「明日の特売情報が配信されました！」といったお知らせをユーザーのスマホに直接届け、見逃しを防ぐこともできます。

2-3. メリット③：閲覧数やクリックデータを分析し、効果測定ができる

Webチラシ最大のメリットの一つが、効果測定の容易さです。

• 何人の人がチラシを見たのか（閲覧数）
• どの商品画像が一番タップされたのか（クリック率）
• どのクーポンが一番利用されたのか

といったデータを正確に取得・分析することができます。これらのデータを活用することで、チラシのデザインや掲載商品を改善し、キャンペーンの効果を最大化していくことが可能です。

2-4. メリット④：SNSや自社サイトと連携し、ECサイトへの誘導も可能

Webチラシは、他のWebメディアとの連携が得意です。チラシ内に自社のECサイトへのリンクを貼れば、ユーザーは気になった商品をその場で購入することができます。 また、X（旧Twitter）やInstagramでキャンペーン情報をシェアしてもらうことで、情報の拡散も期待できます。オンライン（Webチラシ）からオフライン（実店舗）への来店促進だけでなく、オンライン上での購買に直接繋げられる点も大きな強みです。

2-5. メリット⑤：クーポンやキャンペーンなどWeb限定の特典を付けやすい

「この画面を店頭で見せると10%OFF」といったWeb限定のクーポンや特典を簡単に用意できるのもWebチラシのメリットです。 「新規会員登録でプレゼント」といったキャンペーンとも相性が良く、チラシをきっかけにした顧客の会員化を促進することもできます。

3. Webチラシのデメリットと注意点｜導入前に知っておくべきこと

多くのメリットがあるWebチラシですが、導入前に理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。

3-1. デメリット①：インターネットを使わない層には情報が届かない

最も大きな弱点は、インターネットやスマホを日常的に利用しない層には情報を届けられない点です。特に高齢者層をメインターゲットとするお店の場合、Webチラシだけでは十分なリーチが期待できず、依然として紙の折込チラシやポスティングが重要な役割を果たします。

3-2. デメリット②：紙の一覧性に劣り、情報を見つけるのに手間がかかる

紙のチラシは、テーブルに広げれば全体を一瞬で見渡すことができます。しかし、Webチラシはスマホの小さな画面でスクロールやタップをしながら情報を探す必要があり、一覧性では紙に劣ります。文字や画像が小さいと、ユーザーにストレスを与えてしまう可能性があります。

3-3. デメリット③：情報の鮮度が落ちやすいため、定期的な更新作業が必要

リアルタイムで情報を更新できるのはメリットである一方、それは「頻繁に更新しないと情報が古くなる」というデメリットにも繋がります。インターネット上の情報は鮮度が命です。1週間前のセール情報がトップに表示されていては、お店の信頼を損ないかねません。定期的な更新作業が必要になることは覚悟しておきましょう。

4.【実践編】効果的なWebチラシの作成方法とデザインのコツ

では、実際にWebチラシを作成するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは2つの方法と、効果を上げるためのデザインのコツを解説します。

4-1. 作成方法①：既存の紙チラシをPDF化する（手軽だが非推奨）

最も手軽な方法は、印刷用に作成した紙のチラシデータをPDFファイルとしてWebサイトにアップロードすることです。追加のデザイン作業は必要ありません。しかし、この方法はあまり推奨されません。理由は、紙のチラシは大きなサイズで閲覧されることを前提にデザインされているため、スマホの画面では文字が小さすぎて読めないからです。

4-2. 作成方法②：Canvaなどの無料デザインツールで作成する

現在最もおすすめなのが、Canva（キャンバ）やMiriCanvas（ミリキャンバス）といった無料で使えるオンラインデザインツールを活用する方法です。これらのツールには、チラシ用のテンプレートが豊富に用意されており、初心者でも簡単にプロ並みのデザインを作成できます。スマホ閲覧に最適化されたテンプレートも多く、画像や素材も豊富に揃っています。

4-3.【デザインのコツ】スマホ画面を意識した「見やすい」レイアウトとは

Webチラシをデザインする上で最も重要なのは、「スマホファースト」の視点です。

• 文字サイズは大きく、情報は詰め込みすぎない
• PC画面で「ちょうどいい」と感じる文字サイズは、スマホでは小さすぎます。最低限の情報に絞り、大きな文字と十分な余白を意識しましょう。
• タップしやすいボタンデザイン
• クーポンの取得や商品ページへのリンクボタンは、指でタップしやすいように大きく、直感的なデザインにしましょう。
• 商品画像だけでなくレシピや活用シーンの写真も入れる
• 単に冷蔵庫の画像を載せるだけでなく、その冷蔵庫があることでキッチンがおしゃれになるイメージ写真や、特売の食材を使ったレシピの写真などを掲載することで、ユーザーの購買意欲を刺激することができます。

5.【配信編】おすすめのWebチラシ（電子チラシ）サイト・アプリ5選を徹底比較

作成したWebチラシを、より多くの人に見てもらうためには、チラシのポータルサイトやアプリへの掲載が効果的です。ここでは、人気の5つのサービスを比較しながら紹介します。

5-1. どこに掲載すべき？チラシサイト・アプリの選び方3つのポイント

1. ユーザー数と属性： 自社のお店のターゲット層が多く利用しているか。
2. 機能： クーポン配信やデータ分析など、自社が必要とする機能が備わっているか。
3. 料金体系： 月額固定か、閲覧数に応じた従量課金か。予算に合っているか。

5-2.【サイト・アプリ比較】

• Shufoo!（シュフー）：国内最大級のユーザー数とポイント機能が魅力
• 月間1,600万人という圧倒的なユーザー数を誇る最大手。チラシを閲覧するだけでポイントが貯まる機能があり、「ポイ活」ユーザーへのアプローチに強みがあります。
• トクバイ：スーパーの特売情報に特化し、店舗の混雑状況もわかる
• スーパーやドラッグストアの特売情報に特化しており、主婦層に人気。商品カテゴリから特売品を探せる機能や、店舗の混雑状況がわかる機能が便利です。
• クラシルチラシ：人気レシピ動画と連動した提案が可能
• 国内最大級のレシピ動画サービス「クラシル」が運営。チラシに掲載した特売食材を使ったレシピを自動で提案できるのが最大の特徴です。
• LINEチラシ：LINEアプリ上でダイレクトに情報を届けられる
• 日本のインフラとも言えるLINEアプリ上でチラシを配信できます。ユーザーが「お気に入り店舗」として登録すれば、更新情報がダイレクトに届きます。
• チラシプラス：シンプルな機能で低コスト運用が可能
• 機能はシンプルですが、従量課金がなく定額制のため、低コストで運用したい企業におすすめです。

6.【成功事例】大手4社に学ぶ！効果を最大化するWebチラシ活用戦略

理論だけでなく、実際に成功している企業がどのようにWebチラシを活用しているのかを見ていきましょう。各社の戦略には、自社の販促に活かせるヒントが盛りだくさんです。

6-1. イオン（AEON）：「店舗登録」と「お気に入り機能」でパーソナライズを徹底

イオンのWebチラシは、ユーザーが自宅や職場近くの「My店舗」を登録できるのが特徴です。登録した店舗のチラシがホーム画面に優先的に表示されるため、ユーザーは自分に関連のある情報だけを効率的に取得できます。さらに、気になった商品を「お気に入り」に登録して買い物リストを作成できるなど、パーソナライズされた買い物体験を提供することで、来店を強力に後押ししています。

6-2. ドン・キホーテ：「majicaアプリ連携」でクーポン配信と顧客データをフル活用

ドン・キホーテは、会員向け公式アプリ「majica」とWebチラシを強力に連携させています。アプリ会員限定の特別価格クーポンをチラシ上で配信することで、アプリの利用を促進。それと同時に、誰がどのクーポンを利用したかという購買データを収集し、次の商品企画や販促キャンペーンに活用しています。Webチラシを単なる情報配信ツールとしてではなく、顧客データ活用の入り口として戦略的に位置づけている事例です。

6-3. ユニクロ（UNIQLO）：「デジタルチラシ」をECサイトと店舗在庫のハブとして活用

ユニクロの「デジタルチラシ」は、美しいデザインだけでなく、その機能性が秀逸です。チラシに掲載されている商品をタップすると、すぐにオンラインストアの商品ページに移動し、そのまま購入することができます。さらに、その商品の近くの店舗での在庫状況をリアルタイムで確認できる機能も搭載。WebチラシをECと実店舗を繋ぐ「ハブ」として活用し、顧客の「今すぐ欲しい」という気持ちを逃さない仕組みを構築しています。

6-4. スーパーマルハチ：「PDF形式」でのシンプル提供で、更新性とコスト効率を両立

大手企業がリッチなUIのWebチラシを展開する中、地域密着型のスーパーマルハチは、あえて紙のチラシをそのままPDF化したシンプルな形式を採用しています。これは、凝ったWebページを作成する開発コストや更新の手間を省き、コスト効率と情報の速報性を両立させるための戦略です。ターゲット層や企業の規模によっては、このような割り切った運用も十分に効果的であることを示す好例と言えるでしょう。

7. まとめ：紙とWebチラシの上手な使い分けが、これからの集客の鍵

ここまで見てきたように、Webチラシにはコスト削減や効果測定といった紙にはない多くのメリットがあります。しかし、インターネットを利用しない層へのアプローチや、情報の一覧性といった点では、依然として紙の折込チラシに軍配が上がります。 これからの時代の集客で成功する鍵は、どちらか一方を選択するのではなく、「両者の強みを理解し、自社のターゲットに合わせて賢く使い分ける」ことです。

• 高齢者層が多いエリアには、新聞折込を中心に。
• 若いファミリー層が多いエリアには、Webチラシやアプリでの配信を強化。
• 紙のチラシにQRコードを掲載し、Web限定クーポンへ誘導する。

など、紙とWebを連携させるアイデアは無限にあります。まずは、Canvaなどの無料ツールを活用してWebチラシの作成に着手することから始め、自社にとって最も効果の上がる手法を見つけ出していきましょう。